学院生活ブログ
医療従事者としての心構え
沖縄には爽やかな風がやさしく吹いて、真夏が恋しい季節になりましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、皆様は病院や鍼灸院、接骨院などに通院する際に、どんな先生の治療を受けたいでしょうか?しっかりと話を聴いてくれて、解決手段を一緒に考えて治療法を提案してくれる先生もいれば、勝手に治療方針を決めてしまう先生もいるかもしれません。
一昔前の医療現場には、患者にとって最も良いと思われる治療法について専門家である医者が専門的判断を行うべきで、患者は全て医者の方針に従うべきであるという考え方がありました。強い立場にある医療者が、弱い立場にある者の利益を考え、本人の意思に関わらず治療や指導を行うということが当たり前とされていたわけです。これを、パターナリズム(医療父権主義)と呼んでいますが、時として患者の人権を無視した行為となり得ました。
医療といえども契約行為ですので、インフォームド・コンセント(説明と同意)を経ることで、患者様の自己決定権を尊重しなければなりません。もちろん、救急救命医療や医療措置入院など、患者の意思確認が困難な場合においてはその限りではありませんが。
本学院では、医療の国家資格である鍼灸師と柔道整復師を養成しており、患者様の健康を預かる者としての自覚を持ったプロの育成を目標としています。鍼灸師、柔道整復師には独立開業権が認められており、ひと度免許を取れば自らの判断で施術を行う必要があります。その際には、しっかりと患者様やご家族とコミュニケーションを図り、必ずインフォームド・コンセントを実践して診療に臨まなくてはなりません。本学院の卒業生には、院を訪れる患者様の気持ちを受け止め、思いやりを持って診療にあたることのできる先生になってほしいと考えています。
以下は、診療に携わる際にいつも念頭に置いてほしい事項です。
・患者様は、心身に何らかの問題を抱えて訪れている
・患者様は、自分の抱える問題を傾聴してほしい
・患者様は、自らの問題解決の手助けを望んでいる
いつも、これらを忘れずに臨床現場に立つことが、真に患者様のニーズに応えることができるプロの医療家として成功する秘訣です。
学術部・鈴木信司